ツリークライマー「蕨野 充徳さん」

株式会社徳風

蕨野 充徳 さん

業種:特殊伐採(林業)経営者

特殊伐採という仕事

特殊伐採というお仕事はどんな仕事ですか?

林業を始めて17年くらいになります。林業と聞けば、“山稼ぎ”の格好をして山の中に入っていくイメージかもしれませんが、特殊伐採はそうではありません。特殊伐採は、人の暮らしに支障をきたすような木をロープワークや機械を使って処理していく仕事です。なので、仕事場としては町中だったり、学校や神社仏閣だったりします。

特殊伐採を始めたきっかけは何ですか?

もともとは林業の会社で山の中で働いていました。それが、震災をきっかけにその会社を辞め、瓦礫撤去作業に没頭しました。津波の影響で打ち寄せられた倒木や、塩害で立ち枯れた木を除去しながら、人の暮らしを便利にする、誰かの生活に役立つ「特殊伐採」という分野にとても興味を持ちました。もともと木の仕事が好きだったし、自然にスキルを磨きながら今の仕事にたどり着きました。

仕事で大変だったことはどんなことですか?

山の中で一人で仕事をしていたときは危険なこともありました。機械で山の中に入って行って、ものすごい斜度のところを20メートルくらい滑り落ちたことがあります。雪の中の作業もキャタビラが横滑りするなど、けっこう危ないんですよ。

今の仕事へのこだわり、仕事に対する思いを教えてください。

特殊伐採の仕事はいわば“林業レスキュー”です。そのままにしておくと危険な木を排除したり、そこにあると困る枝を切る。人から相談されて、自分が動くことによって解決されて感謝される。助かった、ありがとうと言われる。これが一番です。
山の中の仕事だと結局自己満足に終わってしまうんです。やっぱり相手がいる仕事、人と人の関わりがある仕事は楽しいな、と思います。
それに私の場合、趣味が仕事になったようなもの。一緒に仕事をしているメンバーもアウトドアの趣味でつながった人たちだったりするので、毎日ワクワクしながら働いています。

これからチャレンジしたいことはどんなことですか?

木に登るって楽しいんですよね。だから子どもたちにも経験させてあげたいです。ロープを使ったり木の上で遊んだり、レクリエーションみたいなことができればな、と思っています。
それから、今の仕事も、地元に限らずいろんなところに行ってみたいです。特に神社仏閣が好きなので日本中いろいろな場所から呼ばれるような会社にしたいですね。この分野の技術を追求して、スキルを磨いて、特殊伐採なら蕨野だって言われるような職人になりたいです。

蕨野さんが子どものころ、なりたかった職業は何ですか?

小さいころは考古学者になりたかったです。歴史や伝統に興味があったので、いろんなところへ行っていろんなものを見て、冒険したかったんですね、インディージョンズみたいに(笑)

それが、いい大学に入っていい会社に入っていい勤め人になってたくさん稼ぐことが正しいと思うようになりました。そういう教育を受けてきたんだと思います。それが、今は会社を経営しているわけですが、「なんだ、自分でもできるじゃないか」って。愚痴を言いながら勤め人をしていた時期もありましたが、今の方が楽しいですよ。自分で仕事を受けて、自分の技術で稼いています。だから、単に勤め人を目指すんじゃなくて、自分の力で働くってことを目指した方が楽しいと思いますね。

蕨野さんが働く、ここ大船渡市での暮らしはどうですか?

地元・大船渡で働こうと思ったのは、ここが好きだから。他の場所でもできますが、大船渡は気候もいいでしょう?雪も降らないから冬でも仕事ができます。

特殊伐採の仕事の一番魅力は何ですか?

林業や山仕事って古臭いイメージがありますが、実はヨーロッパや北欧のスタイルが取り入れられていて、けっこうカッコイイんです、ウェアなんかも。しかも、海外ではマイスターがいたりして、実は格が高い職業です。日本でもそんな流れがくるといいなと思っています。
私たちもカッコよく仕事するようにしています(笑)子どもたちにも見てもらいたいですね。
そして、楽しいですよ、この仕事は。