漁業を通して人の繋がりを作りたい「中野 圭さん」

魚業

中野 圭 さん

業種:漁師

 漁師という仕事

漁師のお仕事はどんな仕事ですか?

帆立とわかめの養殖をしています。

漁師は実家の家業ということもあり、子供の頃から身近に感じていましたし、面白そうでチャレンジし甲斐のある仕事だと思っていましたが、この家業を継ぐきっかけとなったのは2011年の東北大震災があって大船渡に帰ってきたことですね。

震災直後は荒れた街・漁港、ほとんどの船が流されたのを目の当たりにして、漁業の復活は2度と無理だと思っていました。ですが震災から5年経った現在、漁港や施設の復旧も進み、現実的に仕事として選択肢に入れられるようになったこと。また30歳という節目でもあるので家業である漁師になることを決意しました。

仕事をする上で大切にしていることはなんですか?

人のせいにしないということです。

例えば、仕事の文句を言っている人がいるとします。その文句を言っている環境は自分で選び、進んできた道なので自分が責任を持たなければいけないと思います。

今までで苦労した経験、大変だったことは?

殆どの漁師は夜中から早朝にかけての仕事になるので周囲は真っ暗。視界が悪い中で仕事するのは昼間の仕事とは神経が比べ物にならないくらい疲弊します。

海上での作業ともなると船が揺れたりして、尚更危険度が高く、神経を研ぎ澄ます必要があります。

そういう神経を使うという部分に加え、本来は普通に仕事する方達が寝てる時間に働かなければいけないので、体力的な辛さがありますね。子供たちと一緒に過ごす時間も取りにくかったりもしますし…。

働く時間帯を変えたりなどは難しいのでしょうか?

市場の時間に合わせて出荷時間が決まるので必然的に夜中〜早朝に働くというスタイルになっています。ただ、そういうスタイルから普通の人たちのように日中に働くというスタイルを確立しつつある漁師さんも出てきているので、後々そのような形に、漁業をやりたいという人が負担を感じないような形に変えていけたらなと考えています。

仕事をしていての喜びや幸せだなと感じたエピソードを教えてください。

いちばんは何より、自分で捕ったものを「美味しい」と言って食べて貰えた時ですね。

食べ物を作っているので、それが美味しいか美味しくないかが評価基準となるのかなと。普段市場に出しているものは誰に食べているかは分からないですが、知り合いに頼まれて個人的に売った際に「美味しかった」と言って貰えると本当に嬉しいです。

漁業で叶えていきたい夢とは?

個人的に漁業を通して楽しい日々を送るためには3つ、必要な要素があると思っています。

1つ目は漁業でしっかり稼げるようにするということです。

体力的にも厳しい仕事なので、ちゃんと稼げるという事が見えなければ漁業をやりたいという人も出てこないかなと。逆に凄く稼げるとなれば後継者も出てくると思うのでそこを何とかしていきたいです。

2つ目は、海・漁業を通して色々な人と繋がるようにしていかなければいけないと思います。大船渡には良い海があるので、多くの人に来てもらい、例えば帆立を捕るところを見て、バーベキューして食べてもらったり、街並み歩いてもらったりして…と、漁業を絡めた交流を作っていきたいですね。

3つ目は漁業関係者を増やすことですね。

大船渡の海に関係する仕事に就く人達を増やさなければいけないと思っています。今後の漁業をこうしたい、こうやっていきたいという将来へのビジョンを持っている人達が増え、広がっていくことが大事だと考えます。

この3つの要素が揃えば大船渡で今よりもっと楽しい漁業ができると思いますし、面白くなっていくのではないでしょうか。

この大船渡で自分のやりたい仕事を見つけるには

学生時代はこの街を出ないと自分のやりたい仕事には就けないと思っていました。そして大船渡を一旦出て、視野を広げることができたからこそ、今漁師という仕事を選びましたし、今ではこの街を出なければ就けない仕事というものはないという考えにもなりました。一旦自分の視野を広げる意味でも「外」に出るという選択肢はあると思います。

最後になりますが地元大船渡の魅力はどんなところだと思いますか

人との繋がりですね。

もちろん場所や食べ物も良いのですが、他の地域にもそういうのはあると思いますし、大船渡ならではの魅力とは言えないのかなと。

なので大船渡にいるからこそできる、人との関わりや繋がりが一番の魅力だと思います。

大学時代は東京に住んでいましたが、そこでずっと暮らしていきたいかというと自分はそうではなく、魅力的な人が沢山いて、友達や家族がいる大船渡だからこそ住み続けたいなと。

大船渡の魅力である人との繋がりというのは、自分が育つ中で築き上げるものだと思っていて、それがそのまま思い出にもなり、地元を好きな理由にもなると思います。