名前が残るような仕事を「片山 秀樹さん」

有限会社 片山製材所 代表取締役

片山 秀樹 さん

業種:製材所

製材業という仕事について

山から切り出した丸太を一般建築材などに使用できるよう角や板に加工し、販売することをやっています。
担当は代表取締役となっていますが、雑務含みなんでもやっていますね。
気仙地区で林業と言えば住田町が盛んで多くの製材所がありますが、ほとんどが大工場の量産工場で、ラインにのった規格品だけを作っています。現在日本全国で製材業者はそういう会社の形に移ってきている…それは需要の関係でサイズが決まってるっていう所もあるからなのですが、そのバランスでそういう会社が多くなったりしています。その中で弊社は規格外な気仙大工用の木材も扱っています。
気仙大工には軸組工法という昔ながらの建て方があるのですが、お客さんのほとんどがそういった工法を用いたこだわった家を建てる人でして。そんな特殊な材料に対応できるような加工技術を弊社では持っています。

この仕事をしていて大変だったことは?

本来元々人見知りで人と喋るのが得意でもなかったにも関わらず、高卒で家業を渡されたんです。専務という肩書でしたけど100%仕事を任されてしまった形なので営業に苦労しました。お客さんでもある棟梁さん達は父親よりも年齢が上ですからね、高卒の自分が正論を言っても相手にしてくれない。
そこでどうやってこの人達から信用を得ていくかというのは、まだ19歳頃でしたが物凄く悩んでいましたね。
先程話したように、とにかく言葉では信じてもらえないってところはわかっていたんで仕事で信用を得ようっていう気持ちになって。誰もが文句を言えないような良い材料を出荷すれば自ずと黙って認めてくれるんじゃないかと。
そこから材料の質にはこだわって商売しています。悩み反省し勉強を繰り返す毎日でしたけどね。お陰様でそれが口コミで広がってから未だかつて営業しなくとも仕事をもらえるように」なりました。
人見知りで営業が下手だからってところはあるけども、口下手だから功を奏したってところも。逆にそれで信用を得たっていう感じのところもありますから苦手なことも自分の強みとして転換できるようにすれば良いんだと思います。

大切にしている事

例えば家を作った工務店の名前は当然依頼している施主さんは分かるし、名前も残っていくのですが。ただどこの製材所から出た木材だかってことは施主さんには伝わらないし、名前も残らない。でもいつか、うちの製材所が出した材料だよという風に名前が残るような仕事がしたいなって思いながら日々仕事をしています。
建物内部の構造材は上棟して外壁で囲うまでの1週間と後は解体する時しか木材は見れないですよね。
その後解体する時に使っている材料の質によって家柄がわかるという所があるんですよね。昔ながらに大家はやはりしっかりした材料で建てている。そういう事が解体する時にわかったりする、建てた施主さんの何代目に建て替えするときに先祖が良い素材で建てていたんだなって評価される仕事を続けていきたいですね。

大船渡での暮らし

自分は旧三陸町の人間でして、昔から言っている事は住みやすいけど暮らしにくい。物価も安かったり、美味しい魚が目の前で採れるところかな。
ただこれといった遊ぶ所がないから率直に言うと若い人達には退屈なかもしれませんね。自分はアウトドアとか自然が好きなので別に不便だと思ったことはないですけども。
ただ遊ぶところというか、その住む地域なりには必ず面白いことがあるはずなんだけど、そこを見つけられないっていう人達はもったいないね。自分は楽しむ場所がなければ、その場所を作って皆さんに提供して楽しんでもらえればなっていう所が根底にあって。だからイベントをやったり、手伝ったりをよくやっている。それで地元を盛り上げようと。

製材業の可能性

環境的には6Kといった括りの中に入るきつい職業という認識されていると思います。確かに危険もあるし汚くもあるしそういう環境だけども、自分で丸太を加工できる技術を持つようになると楽しみも出てくるようになるのかも。ただ、こればっかりはセンスだから。20年たっても半人前の人は半人前だし。センスがあって、その気があっても10年かかるかな、一人前になるには。結構大変な仕事。だから起業するというのは難しいだろうね。
弊社の場合は在来軸組工法の木材を取り扱っているが、そういう工務店や物件は今後減少傾向にあって、自ずと仕事の量は減っていくだろうね。ここの地域だけじゃなく日本全国的な傾向だから同業の数は本当に少なくなると思う。ただ業界全体で見れば衰退はしていくだろうけども、必ずそういう建物を建てたいっていう施主さんは出てくるはずなので、販路を広くしていけば仕事は切れずにいくはず。実際震災前も千葉とか神奈川、横浜あたりまで出荷はしてたので。
また、うちは80%が建築用材だけども、他には土木用材…杭とか丁張材のようなものも扱うし、意外と多いのは造船業に出荷している量。ほとんどの船がFRP化された今でも必ず甲板の上に板を敷く。それが一番滑らなくていいってことで。それの需要が結構ある。遠い所では北海道あたりまでうちの材料が行っています。
温かみのある素材だからインテリアや内装に木目調が取り入れられているように、空間を和らげる素材であるので、どんな時代になっても必ず使われていくはずなので規模が縮小しても残っていく仕事だと思いますよ。

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