子供と共に育てる農家「細谷 知成さん」

農家

細谷 知成 さん

業種:農業

農家の仕事とは

農業というお仕事は、具体的にどんなことをしているのですか?

うちの場合は施設の中ではなく、外で野菜などを栽培しています。だいたい春くらいから、土を起こしたり肥料を入れたりといった畑の準備作業に入っていきます。5月ごろにそこに野菜を植えます。うちではピーマンを栽培していますが、ピーマンは6月半ばくらいから10月くらいまで採れます。
春先は畑での力仕事がメイン、夏から秋にかけての収穫時期には野菜の収穫、選別、箱詰めして出荷、といった作業が続きます。

農業を始めたきっかけを教えてください。

昔から田んぼと畑があったんです。もともとは専業農家ではなく、自家用の米と野菜を作っていました。子どものころからそれを手伝ってはいましたが、農家になることは全く考えていませんでした。
高校、大学と進学し、市役所に就職しました。しばらく経って、農林課の配属になりました。農業に関係する仕事に携わるうち、農業を仕事にできたら、収入面では今より厳くなるかもしれないけれど、別の面で豊かな生活ができるんじゃないかっていう思いがだんだん強くなってきたんです。家族と相談して農業でやっていく決心をしました。

農業で大変なこと、仕事へのこだわりはなんですか?

7月中旬くらいから急激に収穫量が増え、何時間やっても終わらない、なんて日が続きます。それと同時に秋の野菜の準備もしないといけないので、そのあたりのスケジュール管理は一番難しいですね。また、野菜は天気と気温に左右されるので、予定が狂うこともあります。採れたものが全部出荷できるわけでもないんですよ。
その分、順調に育っていい野菜がたくさん採れたときはうれしいですね。徹夜することもありますが(笑)、初めて出荷量が1日で100キロを超えたときはうれしかったです。自分で1年間の目標を決めていて、それが達成できたときはうれしいですね。農業は成果がはっきり目に見える仕事です。

震災後の出荷制限や風評被害を乗り越えてきました。

農業を始めてから、というより、市役所の農林課にいたときに影響を受けました。山菜類、きのこ類は出荷できないとか、牛を飼っている人たちは牧草を輸入しなければいけなかったり。産地直送のものや学校給食などは放射能検査が必要になりました。自分がというより、そのときの農家さんは苦労した人が多かったと思います。今はようやく野菜に関しては影響がないと言えるくらいになりました。

大学で一度地元を離れ、就職のために戻ってきた(Uターン)のはなぜですか?

そうですね…。自然で育ってきたので、都会で暮らしたいっていう考えがなかったですね。かといって、別の土地に行きたいという気持ちもなく。卒業したら大船渡か、岩手県内に帰ってきたいっていうのは大学に通っていたころから思っていました。市役所を選んだのは地元でずっと働けるからというのと、地元の役に立てるからという思いがあったです。

子どものころに考えていた仕事への考え方と今の働き方。どんな違いがありましたか?

就職する前までは、働くことってどういうことをすることなのかイメージしたことはなかったですね…。働いてみて、どんな仕事であっても責任感と向上心が大事なんだって思っています。雑用だとしても、言われたからやるのではない。やるのであれば、効率を考える。相手の要求にはきっちり応えることが大切だと思います。そして、毎年おなじ作業をするとしても、もっといい方法はないか、もっとよい成果を出すことを常に意識して仕事をしています。

農業という仕事、自慢できることはなんですか?

自分の仕事を子どもたちに間近で見せられるところです。子どもも興味を持って手伝ってくれたりして、そんな風に一緒に楽しめる仕事ってあまりないんじゃないかと思います。また、直接お客さんが食べているところを見ることはありませんが、自分の作った野菜が多くの食卓に並び、それが家族のコミュニケーションを生んでいるかもしれない…。そんなことを考えるのって楽しいですよ。

今後の目標、夢を教えてください。

今は両親と3人でやっていますが、家族経営から脱却して雇用を生めるくらいまで拡大していけたらと思っています。働いてくれる人を見つけるとしたら、年間通じて仕事があったほうがいい。そのための設備投資も今後やっていければと思っています。そうやって事業を拡大し、オリジナルラベルなんかを作って地元のスーパーやレストランに使ってもらうのが目標です。
また、今メインで作っているピーマンの産地を広げ、たくさん出荷して、市場からも認知されるように頑張っていきたいと思っています。

大船渡での生活のいいところを教えてください

自分が野菜を作っていることもありますが、新鮮な魚も食べられるし、幸せなことなんだなと改めて感じています。田舎ではありますが特に不自由に感じることもなく、都会過ぎず…、たくさんの自然に触れることができるので、特に子育てするにはとてもいい場所です。時間に縛られずに働き、自然に囲まれてのんびり過ごす。すごく幸せなことなんだって思っています。