モンスターハンター「古内 文人さん」

大船渡市役所

古内 文人 さん

業種:猟師

 ハンターという仕事

ハンターというお仕事はどんな仕事ですか?

朝7時ごろ仲間5〜10人で集まり、その日狩猟する場所などを決めるミーティングから始まります。鹿を追う人、捕獲する人とに分かれ、捕まえたらそれを解体し、肉を分けるところまでやります。農作物に被害をもたらす動物を追う有害駆除となると、30人くらいで山に入ります。

狩猟を始めたきっかけは何ですか?

私は大船渡市役所で働いているんです。それで自分の担当がこの分野で。でも私は狩猟をやったことがなかったから、ハンターの人たちの気持ちとか苦労とかがまるで分からなかった。役所の机上の計算で「1時間以内にこの鹿を追い払え」って指示を出すんですよ。それってどういうことなのかって、やっぱり現実を知らないから分からないんです。それで自分も山に入ろうと思いました。
実際は机上の計算なんかとまるで違います。鹿を追っていても途中で熊が出ることもあるし、山道を登り続けるってすごい汗かいてそれでいて寒くて辛い。獲物が見えたころには銃も持てないほど疲れてるんですよ。それでも自分たちしかできない仕事だから、引き返す人なんていないんです。仕事で対峙する相手のことを知りたくて後を追いかけているうちに、いつの間にか自分もハンターになっていました。4年くらい山を登っています

仕事で大変だったことはどんなことですか?

始めたころはとにかく山の傾斜を登り続けることが大変でした。大きな石や倒れた木がいっぱいあって、登ったら次は獲物を引き下げて降りてくるんですから。それは大変な苦労です。でも、人付き合いの苦労はまるでありません。命がけで協力しあえる仲間ですから。仕事をする上で、人間関係の苦労が一番大変なんですよ。それがないっていうのは恵まれています。

ハンターをやっていてよかったこと、喜びを感じることは何ですか?

それはやっぱり捕獲した時ですよ。捕獲するとみんなが声を掛け合うし、握手しあったりして、その瞬間は本当にうれしくて達成感があります。仲間との絆を感じる瞬間です。年齢も経験もばらばらなのにそうやって一つになれるっていうのはいいものです。
ハンター同士のコミュニケーションは一番大事にしています。息が合わないと目的は達成できない。同じ苦労をしながら、一緒に笑って弁当を食べる。いろんな話をして、反省なんかもしながら理解を深めていくことはとても大切な時間です。そこからまた次につながっていくんです。

古内さんが子どものころ、なりたかった職業は何ですか?

サラリーマンにはなりたくないって思っていましたね。なんで時間に縛られなきゃいけないんだって。雨の日は休んで寝てればいいじゃないかって思ってましたよ(笑)ただ、それでは食べていけないっていう現実に気付いちゃったんですよね(笑)

古内さんの仕事における信念、仕事に対する思いを教えてください。

子どものころから教えられていたのが、「上に行ったら行くほど、頭をさげる数が多い」っていうこと。その時はよく分からなかったけど、今になればよく分かります。これは当然のことだと思うし、お礼をする数が増えるほど、出世するってことなんだって思っています。
実は毎朝事務所の鍵を開けているのは私なんです。決められた出勤時間は8時半なんですが、7時半には来て鍵を開けます。だってね、外で働いている人たちは8時から働いているんですよ。役所だから8時半っておかしいじゃないですか。仕事をするっていうことは、規則やルールを超えたところにも守るべき大事なことがあると思っています。

古内さんにとって、ハンターの仕事って何ですか?

自分に合った仕事をしていると感じますね。狩猟と聞くと、何か汚いとか危険とかそんなイメージがあると思いますが、イメージする前に行動に出るタイプなんですよ。例えば道で鹿がひかれて死んでいたとして、そういうのみなさんいやじゃないですか。私はそこに行くことに抵抗はありません。それがあることで困っている人がいるのなら、昼だろうと夜だろうと行きます。自分がやらなきゃだめだと思っているんです。自分に合っているんでしょうね。

今後はどんな働き方をしていきたいですか?

今は経験も足りなくて、年配のハンターたちに「我々が上に行くからあなたはここにいろ」と言われるんです。やはり年齢と共にスタミナも減ってくるので、先輩たちを楽させてあげたいという気持ちはあります。今は山のことをほとんど知らないので、いっぱい歩いて覚えないといけないと思っています。
とにかく経験を積むしかないんです。銃にしても、今は銃に支配されてしまっているというか。格好つけた言い方ですけど(笑)銃を支配できるくらいにならないと。一生かかるって言われていますけどね。

古内さんが働く、ここ大船渡市での暮らしはどうですか?

北国にしたら雪もなくて過ごしやすいと思います。海がそばにあるも魅力です、わたしは釣りもするので。猟場としても申し分ない。休みの日もだいたい狩猟をしています。不便なことと言えば新幹線と東北道が遠いことくらいです。

ハンターの仕事の一番魅力は何ですか?

銃を撃つと聞くとちょっと怖いと思いますが、単なる道具なんです。でもなかなか持てないでしょ?持ちたいと思っていても持てない、それが持てるっていうのは誇りですよ。鳥が飛んでいた、鹿がいたって言って、見てるんじゃなくて捕まえてやるって言って捕まえちゃうのがハンターです(笑)
市や県が有害駆除を依頼するんです。鹿がいるからなんとかしてくれって。大事な農作物が食われちゃうから。それを実行するのがハンターなんです。引き金をひくのはハンターです。我々にしかできないことなんです。相手が熊だったら誰も近づかないでしょ?他の誰にも代われない唯一無二の存在、私は誇りに思っていますよ。